茶道人.com編集部[著]
三井記念美術館では、「茶の湯の陶磁器 ~“景色”を愛でる~」を7月9日から開催します。三井家が収集した茶道具の中心である陶磁器を、“景色を愛でる”をテーマに取り上げた展覧会です。
名碗とされる茶碗の多くには、その茶碗固有の「銘」や、その茶碗独特の器形や文様などにちなんだ呼び名や、所持者の名前に由来した呼び名があります。それらの名称を決める大きな要素は、茶人の間で古くから共有されて来た「景色けしき」という美意識です。本展では、茶碗や茶入、茶壷、花入、水指、香合といった様々な陶磁器を展示しており、それぞれの名品が象徴する「景色」を、自然を見るような心持ちで鑑賞することができます。
千利休所持とされている「高麗茶碗の古三島こみしま茶碗」は、秀吉の袋師二徳が所持したとされるところから、二徳三島に、とくみしまの名がつけられています。この名の由来は、高麗時代の象嵌青磁(ぞうがんせいじ)の流れをくむ茶碗を三島茶碗と呼ぶことに加えて、見込みの文様が三島暦みしまごよみに似ているところから、「高麗茶碗の古三島こみしま茶碗」と言われいます。これは見込みの文様の景色を、茶人が暦に見立てた例として挙げられています。
器に自然の景色を見い出し、わび・さびの美を感じる茶人たちの独特の審美眼を、数々の名器を通して感じてみてはいかがでしょうか。
2022年7月9日から9月19日まで。