茶道人.com編集部[著]
滋賀県にあるMIHO MUSEUMでは、夏季特別展として「懐石の器」を7月9日(土)から開催します。本展では、MIHO MUSEUM所蔵の茶道具と懐石の器の中から、名品を選りすぐり、時には作品に料理を盛り付けた写真も添えて展示しています。
懐石とは、お茶をおいしくいただくための簡素な料理の呼び名です。修行中の禅僧が石を温めて懐にいだき、一時の空腹をおさえたという伝承から“ふところの石”、即ち懐石と呼ばれるようになりました。そして、豪華な献立を誇るのではなく、心のこもった、おいしくて実のある新しい料理の形でもありました。
懐石にはいくつかの特徴があります。例えば、料理を一番おいしく頂けるように出来立てを一品づつ運ぶこと、亭主自ら給仕し楽しく主客交流すること、最後まで頂いてもお腹に丁度良い量であること、料理にふさわしい器を楽しむことなどが挙げられます。これらの形式は千利休が始めたとされており、江戸時代中期頃にさらに形式が整い、今日の懐石があります。
日本人の繊細で豊かな感性によって生み出された、懐石の器を通して、茶の湯の中で育まれた文化や“おもてなしの心”を感じてみてはいかがでしょうか。
2022年7月9日から8月14日まで。
※事前予約制