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正木美術館「墨痕淋漓(ぼっこんりんり)-墨蹟と水墨画をたのしむ-」 9月3日から開催

茶道人.com編集部[著]

正木美術館(大阪府、泉北郡)では、秋季展示として「墨痕淋漓 墨蹟と水墨画をたのしむ」を9月3日から開催します。展覧会タイトルである「墨痕淋漓(ぼっこんりんり)」とは、墨の跡が生き生きとしてみずみずしい様子を表現した言葉です。本展では、正木美術館のコレクションの中から、表情豊かな墨の表現に注目した墨蹟や水墨画を中心に展示されます。

水墨画というと、ただ墨で描かれた単色のシンプルな絵というイメージがありますが、そうではありません。漢詩で表現された一見難解な墨蹟や、抽象画のようにも見える水墨画は、墨色の階調や水墨のにじみや筆のかすれなど細部まで注目することで、その表現の豊かさが感じられます。

墨蹟の名手として名高い大燈国師(だいとうこくし)の迫力ある筆跡や、墨を撒き散らすようにして描いた水墨山水画、水気の多い水墨を用いて絶妙に表現されるたらし込みの技法など、多様な表現方法による墨蹟と水墨画を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

また、本展と併設して、滴凍翁(てきとうおう)の茶道具も展示されています。正木美術館の創設者である正木孝之は、禅僧一休宗純の人となりを敬慕し、所有する一休の墨蹟にちなみ、「滴凍」の号を名乗りました。「柿の帶茶碗」(李氏朝鮮時代)、「唐藍彩香合」(中国・唐時代)など、滴凍翁の蒐集による茶道具の名品も鑑賞することができます。この機会にぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

2022年9月3日から12月4日まで。
正木美術館