茶道人.com編集部[著]
湯木美術館(大阪府大阪市)では、秋季展として「茶の湯の絵画と絵のある茶道具」を9月1日から開催します。本展では、茶席で見られる「絵」に注目し、掛物だけではなく茶道具など、およそ50点を前後期で展示されます。
茶席における絵は、季節の演出や茶会の意図を伝えるなどの働きがあり、掛物にとどまらず、茶道具にも絵が施されているものがあります。それらの題材となるものは、山水や花鳥など多岐にわたり、似通った題材でも、掛物と焼き物では表現に大きな違いも見られます。
さらに、掛物を描くのは絵師だけにとどまらず、17世紀に入ると、茶人自ら筆を執り、茶掛にかなう絵を描くようになります。前期に展示される「紅葉鹿絵賛 小堀遠州筆」もその一つです。戦国時代から江戸時代の武将である小堀遠州は、大名茶人としても活躍し、徳川将軍家の茶道指南役も務めました。秀吉の家臣であり、利休七哲の1人でもある古田織部のもとで茶の湯を学び、のちに遠州流茶道の開祖となります。
掛物の他にも、茶道具では、形と絵が相乗効果となって魅力を発揮しているものも多くあります。この機会に、掛物から茶道具まで、茶席に散りばめられた絵を通して、新たな角度から茶の湯の文化を楽しんでみてはいかがでしょうか。
前期:2022年9月1日から10月23日
後期:2022年10月26日から12月11日
※会期中、一部展示替えが予定されています。